公務員の人事異動: 希望が叶わない理由と決め方の秘密を解説

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公務員の人事異動って、希望どおりにならないのかな

基本的に退職者の空いたポストから順に人員補充から始めるので、組織都合の色合いが強く、希望どおりにならないケースがほとんどです。

公務員の人事異動。希望どおりにならないのはなぜ?その理由は?人事異動の決め方を人事経験者の目線から解説します。

結論から言うと、人事異動には意外と制約が多いので、個人の配慮まで行き届かないのが現状です。

基本的な流れは、定年退職したポストへの昇任人事から始まります。そして空いた中間職ポストに人材を当てる、その穴を埋める優秀な職員をスライド人事する・・・。普通退職者のポストに同様のポストという形で、退職した管理職ポストから玉突きで埋めていく形になります。また、秘密の人事異動もありますので解説します。いわゆる問題のあるヤバい職員の配置です…。

公務員の人事異動の決め方 定年退職した管理職の後任(昇任)

まずは、年度末をもって定年退職や定年準用退職する管理職の後任を決めます。
部長、局長の人事は、市長・副市長が決めます。
そして、課長級の昇任昇格を部長、局長、人事主管課などが決めます。

59歳の方を選ぶケースもありますね。理由は退職金・・・(略

監督職のポストを決める

部長、課長職に昇格して空いた係長級の中間職ポストに優秀な人財を引き抜きます。

次に挙げる部署には、特に優秀な職員を当てます。

  • 総務課
    人財課
    会計課
    財政課
    企画課

公務員の人事異動の決め方 普通退職したポストを埋める

普通退職により空いたポストに、人財を引き当てます。さすがに新採用職員を当てるわけにはいかないので、他部署からスライドする形になります。

公務員の人事異動の決め方 在課歴が長い人を異動させる

長く在籍している職員を他部署に異動させます。そのためには、その部署の後任職員が育っている必要があります。残念ながら職員が育っていない場合は、もう少し在籍していただくことになります。

公務員の人事異動の決め方 リーダー級の職員を配置する

各課に係長補佐に当たる、リーダー級職員を配置します。このような職員がいないと課全体がつぶれるリスクがあるからです。

自分が何か仕事上の悩みがあるとき。頼りになる、相談できる先輩がいると思います。
想像してみてください

それが、いわゆるリーダー級の職員です。

課内にそのような頼れる先輩がいないとどうでしょう?かなり苦しいことになりますよね。場合によっては「退職」がよぎるかもしれません。

人事主管課は、できる限り職員の退職を防ぎたいので、課が存続できない状態を防ぎたいので、各課にリーダー級の職員を配置します。

公務員の人事異動の秘密: 問題のあるヤバい管理監督職の配置

問題のあるヤバい管理監督職の配置が悩ましいところです。

彼らを降格させる権限は無いため、自主的に降格希望を出さない限りは職位は継続されます。

ハラスメント系の管理監督職

意外と多いのが、ハラスメント系の管理監督職です。

長く一緒にいるとやられてしまうので、所属や人間関係のサイクルを早く回すようにします。

仕事ができない管理監督職

なぜこの人を管理監督職にしたの?という方いますよね。

当時の所属長や人事から、仲良し人事で上げてもらえた人や、一般職では優秀だったけど、管理監督職では無能な人だったパターンです。

また、燃え尽き症候群の片もおります。

仕事ができる上司部下とセットにして、組織として回るように配置します。

公務員の人事異動の秘密: 問題のあるヤバい一般職の配置

実は重要なのが、「課題のある職員」に対する適切な配置です。

いわゆる「仕事ができない職員」は、適材適所になるように様々な部署に挑戦してもらいます。

どうしてもダメな場合は、多人数の部署に割り当てます。

問題のある職員へのアプローチ

課題のある職員に対しては、スキル向上の機会を提供するために、様々な部署への異動を検討します。

これにより、職員の成長と改善を支援し、組織全体の生産性向上を期待します。

できる職員との抱き合わせ(バーター)

問題のあるヤバい職員を置かせてもらう代わりに、できる係長クラスや

問題のある職員がどこに異動しても適材適所になれない場合

課題のある職員がどこに異動させても適切な結果が得られない場合、一時的な解決策として、多人数で誰でもできる業務を割り当てたり、異なる部署間で職員をたらい回しにすることも考慮されます。ただし、これは一時的な措置であり、改善策を模索する一環として行われるべきです。

どこに異動させてもダメな場合は、多人数で誰でもできるような部署に据え置くか、たらい回す形になります。

公務員の人事異動は、組織内の効率性とパフォーマンス向上を促進するための重要なプロセスですが、

組織の機能と職員のキャリア発展に大きな影響を与えます。

職員同士の組み合わせNGリストと照合

過去にトラブルがあった職員同士の組み合わせや、人事異動希望で一緒の配置を望まない要望があった場合は、最大限考慮します。

公務員の人事異動の決め方 新採用職員を配置する

定数配置で空いたポジションに、新採用職員を配置します。

最終合格後に辞退されてしまった場合や、採用試験後に普通退職者が出た場合は、職員が足りません。

臨時的任用職員などを募集して、補充することになります。(対象部署には謝罪します)

公務員の人事異動の決め方 その他職員を配置する ←あなたはココ?

パワーバランスやモチベーションのバランスを考えながら、パズルのように職員配置を検討します。

ここで、本人の希望等も検討しますが、基本的には上から人員補充する形になるので、本人希望まで見ていられないというのが人事主管課の実情だったりします。

おそらく、この記事を読んでいる大半の方が、ここに当たると思われます。

なるべく本人の希望を適えたい気持ちはありますが、基本的には上から始まる人員補充。難しいです。

公務員の人事異動希望が叶わない理由

このように、公務員の人事異動は、市役所組織として機能するために人材を充てるという考え方が根本にあります。

公務員の人事異動の決め方 まとめ

このように、公務員の人事異動は、上から人員補充を進めて、パズルのように人財を当てます。

人事評価や新採用職員を迎える仕事をしながら、人事異動を決めるので激務の中で異動案を固めていきます。そのため、なかなか本人の希望が適えられなかったり、ある程度の固定ルートがあったりします。

希望どおりにならないのは、ひどい!とか、自分に何か問題があるのではないか、なんて思わないでください。

上記のような事情があるため、人事異動には制約が多いので、個人の配慮まで行き届かないのが現状です。

異動後は、スキルを見直すタイミング。異動後に読むとよいおすすめ本を紹介していますので参考にしてみてください。

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