ドラマ「ゼイチョー」は、日本のテレビドラマ界において大きな話題を巻き起こしている作品の一つです。 2023年10月14日(土)22時放送開始のこのドラマは、徴税吏員の仕事と生活を描き、その中のドラマチックな展開やキャラクターの複雑な心情を描いています。
ここでは、この作品の概要となぜ多くの人々に愛されているのかについて紹介すると共に、徴税吏員としての経験を踏まえて、理想と現実を書きます。
【徴税吏員として】寄り添う姿勢も大切ですが、組織として公平な対応ができるのか?
また、個人的には職権乱用に近い対応もあると思いました
ブログの注意書き:追記について
この記事には、ドラマ「ゼイチョー」に関するネタバレが一部含まれます。未視聴の方やまだドラマを楽しんでいる途中の方は、自己責任でお願い致します。
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- ゼイチョー:あらすじ、ストーリーの要点
- ゼイチョー:主要キャラクターの紹介、キャスト
- ドラマ・原作漫画のストーリー【ネタバレ含む】
- ドラマ第1話(原作第2話) 和菓子の味お客様:経営難の和菓子屋経営者(おじいさん)。任意売却
- 【ネタバレ】ドラマ第〇話(原作第1話) 大型新人、現るお客様:非正規雇用x母親介護。親の扶養控除、医療費控除、社保控除
- 原作漫画3話:子どもの顔お客様:シングルファザー。ひとり親支援、保育園の各種サービス、寡夫控除
- 原作漫画4話:夢と現実お客様:個人事業主。 青色申告の提案
- 原作漫画5話:家族だからこそお客様:自宅の固定資産税滞納、初老夫婦。子の第三者納付
- 原作第6・7話 何のためお客様:パチンコ店員(女性)。分割納付
- 原作第8・9話 母と娘
- 原作第10・11話 避けられぬ壁
- 原作第12・13・14話 2泊3日の攻防戦
- 原作15・16話 相棒の条件
- 第17・18・19話 嗤う(わらう)王様
- 第20話(最終話) 彼の夢、彼女の理想
- 税金が払えないワケ一覧(徴税吏員の視点)
- ゼイチョー:ドラマのテーマと社会的意義
- ドラマ「ゼイチョー」まとめ
ゼイチョー:あらすじ、ストーリーの要点
みゆきの市役所納税課徴税第三係に勤める饗庭蒼一郎(菊池風磨)は、滞納されている税金を徴収するのが仕事。彼らは「徴税吏員」と呼ばれ、税金滞納者の自宅を直接訪問し、時に財産を差し押さえ、税金を納めてもらうように促す。いわば税金の取り立て屋とも言えるお堅いイメージとは裏腹に、饗庭はノリが軽くて人たらし!柔和な笑顔とコミュ力の高さで市民の懐に入り込み、豊富な税金の知識と巧みな話術で問題を解決していく。
彼らの本当の職務は、税金をただ取り立てることではない!
市民には、滞納せざるを得ない “払えないワケ”が……。「敵じゃない!味方になりたいんです!」と、市民の事情に寄り添って、救う方法を模索していく――!
滞納者の「お金と心」に寄り添う徴税吏員の姿をスリリングに!
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そして、時には泣いて笑って…!
魂揺さぶるヒューマンエンターテインメントドラマが走り出す!
徴税吏員(ちょうぜいりいん)とは?
本作の主人公の職業「徴税吏員」とは、わかりやすく一言でいうなら「税金の取り立て屋」。
市役所で働く公務員ですが、場合によっては財産の差し押さえも行えます。
ただしただ“取り立てる”というわけではなく、税金に関する専門知識を持っていて、滞納者の様々な経済状況を考慮し、公的支援や税金控除を受けられるように助言して問題を解決していくこともあります。
ゼイチョー:主要キャラクターの紹介、キャスト
饗庭 蒼一郎(あいば そういちろう)役 菊池風磨
※饗庭 蒼一郎(あいば そういちろう)役 菊池風磨
みゆきの市役所納税課。徴税吏員。
基本的にいつも笑顔で、軽いノリの脱力系。公務員だが堅苦しいところがなく、第一印象で誰にでも好かれる人たらし。税に対する豊富な知識や、状況を的確に捉える観察眼、持ち前のコミュニケーション能力で相手を油断させて懐に入る能力に長けている。元財務省の官僚という華麗な経歴を持つが、財務省を辞めて徴税吏員になったのにはある理由があって……。
原作ドラマの主人公:百目鬼 華子の決め台詞「公平公正 公務員なめんなよっ」は、ドラマでは彼が言ってますね
百目鬼 華子(どうめき はなこ)役 山田杏奈
※百目鬼 華子(どうめき はなこ)役 山田杏奈
みゆきの市役所納税課。新⼈徴税吏員。
幼い頃、⺟⼦家庭で育ち、⾃宅が税⾦を滞納して差し押さえられた経験がある。
そんな⾃分が経験した思いから「とにかく困っている⼈を助けたい」と徴税吏員になった。入所時の成績も優秀で仕事熱心だが、実績はまだないため、滞納者に全力で向き合う日々。饗庭の指導も受けながら滞納者に寄り添い、成長していく。
原作漫画では、主人公は女性の百目鬼 華子(どうめき はなこ)ですが、
ドラマでは饗庭 蒼一郎(あいば そういちろう)が主役ですね
徴税第三係の同僚役:白洲迅、松田元太(Travis Japan)、鈴木もぐら(空気階段)、猪塚健太、光石研
徴税第一係長「日比野みのり」役:石田ひかり
※日比野 みのり(ひびの みのり)
みゆきの市役所納税課徴税第⼀係⻑。第三係をライバル視している。滞納者には問答無⽤で徴収を仕掛ける強硬派で、第一係は徴収率で3つの係のうちトップを誇る。
現実の納税課は、このように問答無用で徴収を仕掛けます。
饗庭の財務省勤務時代の同期、奥林 礼二役:結木滉星
※奥林 礼二(おくばやし れいじ)
饗庭の財務省勤務時代の同期。ある理由で自殺を図っており、幸いなことに命は助かったが、意識が戻らない状態。
サッカー選手「三笘薫」の実兄ですね!
華子の憧れ。羽生 詩織(はにゅう しおり)役:市川由衣
※羽生 詩織(はにゅう しおり)
元徴税吏員。百目鬼華⼦の⺟の家宅捜索を担当し、その後、祖⽗⺟に引き取られた華⼦の教育環境の⽀援などに親⾝になって対応した。華⼦の憧れの⼈。
ドラマ・原作漫画のストーリー【ネタバレ含む】
ドラマ第1話(原作第2話) 和菓子の味お客様:経営難の和菓子屋経営者(おじいさん)。任意売却
饗庭と華子は、住民税を滞納している和菓子屋『喜泉』の主人・泉喜和(笹野高史)の元を訪ねる。店の借金返済に苦しむ泉は3年分の住民税を滞納中だが、その割に固定資産税だけはしっかり納めているから不思議だ。何か事情があるのでは…と裏を読む饗庭は、家に上がるなりさっそく税金を徴収しようとする華子をよそに、のんきに世間話を始めて――。
お客様 | 経営難の和菓子屋経営者(おじいさん) |
払えないワケ | 経営難だったが、店舗の固定資産税は、所得でなく「物件」に対して一定の税率がかかるため、支払いが厳しかった。 |
説明 | 自宅と店舗の「任意売却」を提案 不動産売却には、公売と競売があるが、市場価値より安くなるため。 |
対処法 | 饗庭の不動産関係の友人に、任意売却のとりまとめを依頼し、賃貸人として住ませるように取り計らった |
店舗という特殊な物件を買う業者は、現実的にはほぼいないでしょう…。
また、任意売却を提案すると、越権行為に思われ、徴税吏員としては危険です。
「任意売却という方法もあります」と言った時点で、立場上危ういです。強制されたと言われる可能性がありますので、何も言わない職員は多いです。自宅や店舗は、思い入れが大きいので、感情的になります。
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【ネタバレ】ドラマ第〇話(原作第1話) 大型新人、現るお客様:非正規雇用x母親介護。親の扶養控除、医療費控除、社保控除
お客様 | 非正規雇用で、病気の母親を介護している女性(友人) |
払えないワケ | 低所得だが、各種所得控除を使っていなかった |
説明 | 住民税は、均等割りと所得割があることを説明。 給与所得控除と基礎控除は自動計算されるが、それ以外の控除は自己申告。 |
対処法 | 次のとおり、確定申告しなおし、控除額を適正に申請したら非課税になった (本来は税金を払わくてよい世帯だった) ・母の扶養控除38万円 ・母子の医療費控除(10万円を超えた金額に対して) ・国民健康保険と国民年金の社会保険料控除 |
非正規雇用の方で、各種控除をしていないケースは、よく見受けられました。確定申告しなおした結果、還付になるケースもありますので、積極的に提案してあげたい。
微妙に残った場合は自主納付させますが、それでも払えない場合は、ほぼ差押える財産も無いため、職権で「滞納処分の執行停止」にすることもあります。(滞納額は3年で時効消滅)
原作漫画3話:子どもの顔お客様:シングルファザー。ひとり親支援、保育園の各種サービス、寡夫控除
お客様 | シングルファザー(住民税と保育料を滞納) |
払えないワケ | 多忙で納付忘れ |
説明 | ・市のひとり親支援を自己申告していない ・年末調整で寡夫控除(所得制限あり)を申告していない |
対処法 | 保育課と面談し、保育園への送り迎えや、預かりサポートを知る 過去5年間の還付申告をする |
制度などを知らず、控除を受けられなのは、市側の努力不足と考えると伝える、百目鬼さん。
保育無償化等により、保育園関係は、様々なサービスや補助金があるので保育課に確認しましょう。
原作漫画4話:夢と現実お客様:個人事業主。 青色申告の提案
お客様 | 個人事業主のカメラマン |
払えないワケ | 収入が不安定 |
説明 | 青色申告に切り替えることを提案(青色申告承認申請書) ※複式簿記で65万円の所得控除あり ※経費の範囲も広がる(家事按分など) |
対処法 | 兄が代わりに払ってくれた。 次年度の所得控除に向けて、青色申告承認申請書を提出予定 |
売ったはずのバイクで、「税金未納」と言われるケースは、よくあります。
軽自動車税は、4月1日の所有者に課される税金。
それ以降に売った場合は、納税義務者は、所有者でなく売った側です。
青色申告を知らない方は、一定数います。白色申告より控除額が大きいし、
原作漫画5話:家族だからこそお客様:自宅の固定資産税滞納、初老夫婦。子の第三者納付
お客様 | 自宅の固定資産税を滞納している、初老の50代夫婦 |
払えないワケ | 夫の収入減 再開発等で地価上昇による固定資産税の増加 |
説明 | 妻がサラ金から借りて納税しようとするのを制止(※) |
対処法 | 娘婿が同居に前向きで、第三者納付することに。 |
老夫婦が固定資産税を払えないのは、よくあるケースです。
納付するお金がどこから来ていても関係ないので、受け取り拒否するのはマズいです。
子どもが第三者納付してくれるケースもありますが、払えない場合や任意売却をしない場合は、不動産公売になることもあります。
原作第6・7話 何のためお客様:パチンコ店員(女性)。分割納付
お客様 | パチンコ店員 |
払えないワケ | 毎月1日の生活保護受給者、毎月15日の年金受給者が税金でパチンコするのを快く思わず、払わないと主張。実際は、求職中で病気の夫がおり、払えない状況だった。 |
説明 | 納税の意思が無いため、滞納処分も検討したが、話し合いの末、分割納付へ。 |
対処法 | 分割納付。 夫は退職後、無保険状態だったが、社会保険資格喪失の書類をもとに、国民健康保険へ加入。健康保険料もあわせて納税相談。 |
分割納付という制度はありませんが、納税の猶予制度を準用する体裁で運用しています。
原作第8・9話 母と娘
ここにきて、相良副市長(百目鬼ちゃんの兄)から伝達。
滞納を許すな。積極的に差押え処分、強制執行を遂行。
長期の少額分納は新たな滞納を発生させ完納は見込めない
正論です
お客様 | 新入社員の女性(娘) |
払えないワケ | 毒親(母)が、できないと考えている娘のために財産管理をしている。 納付忘れも、娘のせいにしている。 |
説明 | 毒親に管理されているため、むしろ差押えをしてほしいと依頼される。 差押えしても一時しのぎにしかならないため、母娘での決着をするように説明 |
対処法 | 親が管理している給与振込口座を変更。 |
原作第10・11話 避けられぬ壁
強制執行の現場に同行しますが、百目鬼華子は、過去のトラウマがあり…。
この回は、ヒューマンドラマになっています。
背伸びしている華子を、母が「あなたはこれからじゃないの」と抱きしめ。
原作第12・13・14話 2泊3日の攻防戦
県外に転出した滞納者から状況を聞くため、東京都幸野市から九州へ出張します。7人に臨宅
それぞれ、納付約束や就労状況確認が取れたり、市役所の若年性就労支援を勧めたり。
出水田さんという方との攻防戦が話の中心になります。
お客様 | 東京で働いていた50代男性。田舎の高齢の母が怪我をしたことから帰省。 |
払えないワケ | 納税相談に行き、事情を説明するも、「あなただけ特別扱いできない」と納税課職員に失笑されたことを根に持っている。 |
説明 | 過去の職員の非礼を謝罪。 老人扶養控除、障がい者控除で税金が減らせることを説明。 市役所によるファイナンシャルプランナー相談サービスの利用を提案 |
対処法 | 親が管理している給与振込口座を変更。 |
原作15・16話 相棒の条件
お客様 | 饗庭の元同僚の後輩(財務省)。キャリア組脱落して民間で働くが、アルコール依存症 |
払えないワケ | 収入のほとんどをアルコールにつぎ込んでいる |
説明 | 市の福祉サービスを提案。納税相談を提案 |
対処法 | 饗庭が手を差し伸べると、依存症が大きくなるから、アルコール依存症は素人対応せず専門家に。納税相談は別途 |
饗庭さんが財務省キャリア組から離れた経緯を描きます。
「何連勤だ?今日は帰れるのか?」「無理などしてない!」…と薬を服用しながら働く姿が心を打たれます。
饗庭は、自分の過去と現状を話します。
心を閉ざしていた彼ですが、自分のアルコール依存症と滞納整理に取り組むと立ち直ります。
第17・18・19話 嗤う(わらう)王様
お客様 | 不動産・画廊などを複数所有する26歳 市議会議員の有力な支援者 とあるリストに載ってる |
払えないワケ | 特権階級と考えている |
説明 | 臨宅し、市民と同様に説得を試みるが… |
対処法 |
物語の核心部分。相良副市長と百目鬼華子の関係性が見られます
ちなみに、「納税課は、激務で配属されたくない部署No.1」と原作漫画では言ってますが、私はそうは思わなかったですね。人によるかな?
第20話(最終話) 彼の夢、彼女の理想
YouTuber登場。会社員退職後の税金が、1年後に課税されることについて言及
退職後の税金が払えないとは、よくある納税相談です。
話が変わって、この回では、彼の夢と、彼女の理想について話が展開されます。
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税金が払えないワケ一覧(徴税吏員の視点)
なお、税金が払えないワケの一覧は、こちらで解説しています
ゼイチョー:ドラマのテーマと社会的意義
「ゼイチョー」は税金という現実的なテーマ、社会的な価値観や個人の成長、法と正義の探求についての洞察を提供しています。このドラマは視聴者に考えさせ、社会的な問題を議論を促進する役割を行っています。
ドラマのテーマ 税金と正義・個人と組織・寄り添う姿勢
- 税金と正義
税金業務に焦点を当て、納税者と市役所納税課との間で発生する様々な紛争や問題を描きます。 - 個人と組織
主人公たちは個々の信念や感情を持ちながら、市役所納税課という組織に属している。 彼らの個人的な価値観と組織のルールとその間で葛藤が生まれ、個人と組織の関係性が重要な要素として描かれています。 - 成長と自己発見、寄り添う姿勢
主人公たちは徴税員としての役割成長し、自己発見を経験します。
社会的意義
- 法と正義
ドラマは法と正義に焦点を当て、時には法を超えてまで正義を追求する姿勢を描きます。この点から、法と正義の関係性についての社会的な対話が喚起されます。 - 個人の成長と共感
主人公たちは自己発見と成長を経験し、視聴者に共感を呼び起こします。個人の成長と人間ドラマは社会的な意義を持ち、視聴者に魅力的な物語を提供します。 - 税金と社会の基盤
税金は社会の基盤を支え、公共サービスの提供や社会的な不平等の緩和に貢献します。 ドラマは、税金の徴収と適正な利用の重要性を示し、納税者と納税課の役割を強調しています。 - 公共サービスと市民への責任
徴税吏員たちは公共サービスの提供に貢献し、社会的な秩序を維持する役割を果たします。この点から、市民としての責任と公共の利益についての議論が促進されますます。
ドラマ「ゼイチョー」まとめ
物価高騰によるインフレ、非正規雇用の増加、シングルマザー、様々な要因で税金が払えない方が増えると思われます。
徴税吏員としては、滞納処分が効率的ですが、コロナ禍で再認識した、人とのつながりや、人と向き合う姿勢を大切にしたいですね。
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